WI'RE08 [ √-1 〜存在、しません〜 ]
2006/6/10(sat)
blurb今まさに、1人の老人が消えようとしている。老人は物語る。彼の、6000人の捨て子たちに。彼らの、歴史を。出演者、なし。あるのはただ、無人の部屋。
精華小劇場
精華演劇祭2006夏
構成・美術/サカイヒロト
照明/井村奈美
音響・音楽/石上和也 渡邉崇
美術/ステファニー 藤田香里 小中太 つかもとやすこ
舞台監督/渡川知彦
出演/ 出演者なし
ノイジーなビジュアルとノイジーなサウンドのインスタレーションによってお贈りする、50人限定、普通の演劇。
concept2004年7月から2005年6月の1年間にわたるワークインプログレス公演「スカトリロ」が終了し、早くも1年が過ぎようとしています。
この企画はWI'REの創作における3つの大きな要素「物語」「空間/時間」「物質」をそれぞれ「door door」「+」「H●LL」という3つの公演のメインアプローチとし、我々にとっての「演劇」とは何かを検証しようという試みでした。そこで顕わになったのは、俳優/パフォーマーという存在がWI'REの作品でありつつ外部でもあるというパラドックスであり、同時に、俳優/パフォーマーが作品の一部となりながら外部たる自分を発見する「過程」はもしかしたら公演として提示される「結果」よりも重要なのではないか、少なくとも等価なのではないかという疑問です。
今、あらためて考えます。WI'REにとっての「演劇」とは何か。
ひとつの仮説をたててみようと思います。 「演劇」とは「物語・空間/時間・物質」を「他者」と一時的に共有することによって共振し衝突し変容しあう装置なのだと。言いかえれば、「物語・空間/時間・物質」を共有することができれば、その方法はいかなるものであっても「演劇」なのだと。
観客を傍観者でなく、体験者として配置する・・「物語・空間/時間・物質」をリアルに通過する存在として「配役」してみようと思います。
今回の作品の中に、既存の意味での俳優/パフォーマーは出現しません。物語・・仮説としての世界観とコードのもとに、オブジェ・映像・音楽が意思を持って動き回り、体験者の知覚を変容させていく空間・時間芸術を試みます。